原料を組み合わせ
研究室でつくった味を
再現する難しさ。
研究開発部では、新商品を開発するために、さまざまな原料を組み合わせて試作を繰り返しながら自分のイメージする味に仕上げていきます。ときには十種類以上の原料を配合することもあり、それぞれの原料の特徴・風味について知っておく必要があります。最初に感じる先味(さきあじ)、次に感じる中味(なかあじ)、最後に感じる後味(あとあじ)など、味を強く感じるタイミングも重要で、そういったバランスも考えながら配合を組み立てる必要があります。
マニュアルがあるわけではないので、⾃分で味を確かめながら覚えていくしかありません。たとえば砂糖の場合、⽇研フードにある砂糖関連の原料を並べ、すべて味⾒をしながら違いについて勉強することで、味覚を鍛えていました。でも、やっぱり仕事を通して味を確かめるのがいちばん勉強になった気がします。
また、開発の仕事は「味を再現したら終わり」ではなく、商品として完成して初めて努⼒が実るもの。試作でねらった通りの味や⾹り、⾊が得られたとしても、製造⼯程で同じものが再現できるとは限らないんです。これは製造現場との環境の違いによって、開発時には⾒えなかった課題が⾒えてくるから。試作段階と違って、商品にする場合は⼀度に⼤量に生産するので、加熱後に温度が下がりにくくなり、味や⾊が変わってしまう、なんてことも珍しくありません。
そのため、⽣産部の⽅々にも相談してアドバイスをいただきながら味の再現に取り組んでいます。慣れない頃は製造現場のことをもっと知るため、たびたび⼯場に顔を出し、⽣産部の⽅にさまざまな機械や加⼯⽅法を教えてもらうようにしていました。